感染症への関心が高まっている今、卒業までに感染症の知識を身につけておくことが求められています。
感染症は、どの診療科で医療に従事しようと直面する病気です。
感染症の専門医に限らず、誰もが最低限の診療と感染対策ができる、基本的な知識を身につけておかなければなりません。
卒業してから学修するのではなく、「感染症医療人」として早い段階での知識修得が必要なのです。 富山大学には、入学から卒業までに感染症を学べる機会が多数設けられています。
専門家視点の感染症を学ぶ
富山大学では1年生のうちに、専門家視点の感染症に触れます。
富山大学医学部に入学後、バス移動を伴う研修や、附属病院での実習の機会があります。その際にコロナウイルスなどの感染症を、患者さんや医療スタッフに持ち込むわけにはいきません。
まずはリスク回避のために検査を実施することから、感染症の学修がスタートします。富山大学は、全国でもトップクラスに早い段階で感染症医療に触れられる大学です。
「良い微生物」についての先取り学修
2年生では、目に見えない小さな微生物について学びます。富山大学の微生物学の特徴は、「良い微生物」について先取りして学ぶことです。
微生物という言葉には少し恐怖を覚えるかもしれません。しかし、実は私たちの体の表面には、共に過ごしている微生物が存在しているのです。
この微生物は、普段私たちに危害を加えることのない「良い微生物」ですが、バランスが崩れると病気を起こす原因となりかねません。
医学では、感染症の原因となる悪い微生物を中心に学ぶことが一般的でした。富山大学では、私たちの健康に影響を与える可能性がある「良い微生物」についても知識を深めます。
微生物学では、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、100を超える微生物の名前が出てきます。これらは感染症という病気を理解するために必須な学修です。
研究室への参加
3年生になると、研究室への配属がスタートします。感染症や微生物に興味のある学生が、教員と一緒に研究に参画する科目です。
2年生で学修した知識を最大限に活かしつつ、英語力やプレゼンテーション力、研究への責任を身につけます。
実践的な感染症学
4年生では感染症学について学びます。富山大学の感染症学の魅力は、国内の最前線でご活躍されている著名な先生方の講義です。
講義にお呼びするのは感染症科の先生に限りません。さまざまな診療科の先生方が、豊富な感染症の診療経験を元に講義を進めます。
感染症診療とは違った視点からの内容が存分に盛り込まれており、教科書では学べないような実践的な知識が身につきます。
現場を知る臨床実習
4年生後期から5年生にかけて臨床実習が始まります。感染症医療の現場を肌で感じられる貴重な期間です。
具体的には、グループ単位で感染症科を回り、実際に患者さんの診療に関わります。診療方針をみんなで考えるカンファランスに参加したり、治療薬の新しい情報を取得したりと実践経験を積みます。
後期臨床実習で経験を積む
後期臨床実習は、「臨床実習だけでは物足りない」「さらに経験を積みたい」という学生に向けたカリキュラムです。5年生の冬から6年生の間にかけて実施します。
より多くの症例を経験できる他、実際の医療現場の課題は何か、課題解決のために何ができるかを考える知識が身につきます。
研究医養成プログラムの実施
富山大学では、感染症や微生物に関する研究に取り組む「研究医養成プログラム」を実施しています。
学会発表や論文作成などの、時間や高い知識力を必要とする内容にチャレンジします。そのため、「研究医養成プログラム」に取り組む時間を自分で確保しなければなりません。
ハードルが高く感じるかもしれませんが、学年にとらわれず、希望者のみ参加する科目のため、高い向上心を持って学修できます。(※本プログラム詳細については、改めて説明いたします。)
さらに2023年度からは新しいカリキュラムを始める予定です。正規カリキュラムとは別に、希望者が医療現場や社会の中で活用できる感染対策や感染症について学修できるものです。
富山大学の学生は卒業までに、感染症に対する深い理解と実践的な基盤を築きあげられます。